クレジット情報
◆ 『ドッグヴィル』 (原題:Dogville)(2003年)
◆ 監督:ラース・フォン・トリアー (『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『奇跡の海』 『メランコリア』など)
◆ ジャンル:ドラマ、サスペンス
◆ キャスト:ニコール・キッドマン、ポール・ベタニー、ステラン・スカルスガルド、ジェームズ・カーン、
ウド・キア ほか
◆ 配給:ギャガ(2004年)
この映画を一言で表すなら
街も人も、心も丸見え状態!
なぜこの映画を観たいと思ったのか?
以前からラース・フォン・トリアー監督の作品はとても好きで、その中でも『ドッグヴィル』は人生ベストに食い込むレベルで大好きです(DVDも間違って2枚買っちゃうくらい好きです。)
そしてこの度、素敵なご縁があり、弊社で『ラース・フォン・トリアー レトロスペクティブ2023』の予告編を制作させていただきました!
改めて4Kデジタル修復版で観返してみて、『ドッグヴィル』の凄さを痛感したので皆さんにも観ていただきたく…
誰におすすめなのか?
・サスペンス好き
・唯一無二の映画体験がしたい
・綺麗な俳優を拝みたい
というような方にお勧めです。
とにかく今まで観たことない、奇妙で美しい世界観をご堪能ください。
どういうとき、気分のときに観るべきか?
・長時間、思考にどっぷり浸かりたい
・自分の持っている価値観を確かめたい
というような方にお勧めです。
※楽しい/嬉しい気分になりたい人には、あまりお勧めではありません笑
総評
ラース・フォン・トリアーは”あるテーマ”に沿った作品を三部作で作ることが多い監督で、
「ヨーロッパ 三部作」 「黄金の心 三部作」 「鬱 三部作」
そして、いよいよ完結するカルト的人気ドラマシリーズ、『キングダム』もシーズン3まで作っています。
実は『ドッグヴィル』も次作『マンダレイ』『Washington』と合わせて、「機会の土地-アメリカ 三部作」と呼ばれていますが、『Washington』は無期限延期となっているため、現在は二部作で止まっています。
が…なんの因果かは分かりませんが、長編映画での最新作『ハウス・ジャック・ビルト』の舞台は、1970年代の米国ワシントン!
映像表現は大きく違えど、これが三部作の最終章なのかもしれない…という説を勝手に推しています。
さて、この『ドッグヴィル』という映画の舞台は、壁やドアも無い建物の一部と、白い枠線と説明文字で区切られた床という恐ろしく簡素なセットで撮影されています。犬すら文字とイラストのみ。
そんなセットを真俯瞰から撮影するショットはまさに“神視点”。加えて、劇中では登場人物紹介やその心模様を事細かに説明するナレーションも入るため、視聴者はすべてを知り得る状態でこの映画を観ることになります。すごい発想ですよね。
ドッグヴィルという小さな村は、知らない人にはとても不親切で閉鎖的な村です。その割に先述した通りの開放的なセット。どこで誰が何をやっているのか全て筒抜けの状態。
こんな状態の映画で何が起こるかというと…
“見て見ぬふり”が完全に可視化されるんです。
まさにこの演出だからこその世界観!その様子がとてもシニカルで、正直笑ってしまう。
本作の主演、ニコール・キッドマンはハリウッドの頂点に立つ女優です。
特にこの『ドッグヴィル』でのニコール・キッドマンは、そのキャリアの中でも一番と言っていいほど美しいタイミングです。本当に観てほしい…
そして、そんな彼女もドッグヴィルの魔の手に落ちる…
神視点となった状態で、1つの村の盛衰を見守る。その中で自分自身(視聴者)が何を思うのか。
本作が自分の中のドス黒い部分を浮き彫りにしてくれる手助けをしてくれます。
本当にラース・フォン・トリアーは正直すぎる監督です。
「機会の土地-アメリカ」とはよく言ったものです…!
予告編について
1:40「もうたくさん」以降はセリフがないですね…
キャスト紹介(それにしてもすごいキャスト陣!)後のニコール・キッドマンの顔寄りショットのタイミングで、最後にキメの一言でも入れたくなるものですが、じんわりと表情1つに抑えているところがかなりグッときますね…!
この映画はとにかく斬新でシンプルなセットとニコール・キッドマンの美しさが際立つ映画なので、
3時間の本編の中で、予告編で切り取る箇所の選定はとても難しかったと思います…僕なら迷いまくっちゃうと思います笑
いかがだったでしょうか。
稚拙な文章ですが、これからも随時、好きな映画を好き勝手レビューして参ります!